親が施設へ入居したり、亡くなったりして実家が空き家になると、郵便受けの管理が必要になります。郵便物がたまった状態は、家が長期間使われていないことを周囲へ知らせる一因になるためです。
ただし、利用できる手続きは、親が存命か、亡くなっているか、一時的な不在かによって異なります。特に、亡くなった人宛ての郵便物を家族の住所へ転送することはできません。
この記事では、空き家になった実家の郵便物について、転居届、不在届、故人宛て郵便物の扱い方、郵便受けの防犯確認を順番に説明します。
最初に「親の状況」と「空き家になる期間」を確認する
最初に、次のどの状況に当てはまるかを確認します。
| 実家の状況 | 主な対応 | 注意点 |
|---|---|---|
| 親が存命で、施設や別の住宅へ転居した | 親本人の意思を確認し、転居届や各契約先の住所変更を行う | 子どもの判断だけで手続きを進めない |
| 旅行や入院などで一時的に不在になる | 必要に応じて日本郵便の不在届を検討する | 郵便物の保管期間は最長30日 |
| 親が亡くなった | 郵便局と差出人へ連絡し、送付停止や相続手続きを進める | 故人宛て郵便物を家族へ転送することはできない |
| 実家を長期間空き家として管理する | 差出人ごとの住所変更・送付停止と郵便受けの確認を続ける | 不在届は長期空き家向けの保管制度ではない |
「空き家だから転居届を出す」と一律に決めるのではなく、宛名人が実際に転居したのか、亡くなっているのかを分けて考えることが大切です。
郵便物をためないことが空き家の防犯対策になる
郵便受けから郵便物やチラシがあふれていると、長期間管理されていない家だと外から推測される可能性があります。また、金融機関、保険会社、行政機関などから届いた封書が抜き取られると、個人情報が知られるおそれもあります。
奈良県警察も、空き家の侵入窃盗対策として、不要な郵便物を処分し、郵便受けを空にしておくことを案内しています。
郵便物の整理だけで空き家の安全を確保できるわけではありません。玄関や窓の施錠、庭木や雑草、照明、建物の破損なども一緒に確認しましょう。
親が施設などへ転居した場合は転居届を確認する
親が存命で、実家から介護施設や別の住宅へ生活の拠点を移した場合は、親本人の意思を確認したうえで、日本郵便の転居・転送サービスを検討します。
転居届の提出方法は次の3つです。
- 郵便局の窓口
- 郵便局で入手した専用用紙をポストへ投函
- e転居(Webサイトまたは郵便局アプリ)
電話は問い合わせには利用できますが、転居届の提出方法ではありません。
転送期間は、転送開始希望日からではなく、転居届を提出した日から1年間です。1年を超えて転送を希望する場合は、あらためて転居届を提出します。登録には3~7営業日かかると日本郵便が案内しているため、余裕をもって手続きしましょう。
窓口やポスト投函、e転居では、本人確認の方法が異なります。必要な確認書類と申込条件は、手続きをする時点で日本郵便の公式案内を確認してください。
転居届だけで住所変更は完了しない
転居届は、差出人が管理する住所を変更する手続きではありません。転送期間中に、次のような契約先へ新住所を届け出ます。
- 銀行、証券会社、クレジットカード会社
- 生命保険会社、損害保険会社
- 市区町村、年金関係の窓口
- 電気、ガス、水道、通信会社
- 新聞、雑誌、通販、定期購入サービス
- 病院、介護事業者、その他継続して連絡を受ける相手
「転送不要」と記載された郵便物は、転居届を提出していても転送されません。日本郵便以外の配送サービスや、宛名のないチラシなども転居届では止められないため、転送開始後もしばらくは郵便受けを確認します。
一時的な不在には「不在届」がある
旅行、帰省、入院などで一時的に家を空ける場合は、日本郵便の不在届を利用できる場合があります。不在期間中に到着した郵便物等を郵便局で留め置き、届出期間が終わった後に配達する仕組みです。
ただし、保管期間は最長30日です。数か月や数年にわたって空き家の郵便物を郵便局で保管してもらい、家族が定期的に受け取りに行く制度ではありません。
長期間空き家になる場合は、不在届に頼らず、契約先への住所変更や送付停止を進め、郵便受けを確認できる管理方法を決めます。
親が亡くなった後は故人宛て郵便物を転送できない
日本郵便は、受取人本人が亡くなった場合、家族から申し出があっても、故人宛ての郵便物等を家族の住所へ転送することはできないと案内しています。故人宛ての郵便物等は、差出人へ返還されます。
親が亡くなった後は、故人名義の転居届を出すのではなく、実家を担当する郵便局へ死亡の事実と現在の状況を伝え、取扱いを確認します。同時に、銀行、保険会社、行政機関、定期購読先などへ連絡し、必要な相続手続きや送付停止を進めます。
すでに実家へ届いている郵便物の扱い
すでに郵便受けへ届いている物は、チラシと重要書類を見た目だけで決めつけず、まず次の内容を記録します。
- 宛名人
- 差出人
- 届いた時期
- 封書、はがき、請求書などの種類
- 保管場所
親が亡くなっている場合でも、家族の誰もが自由に郵便物を開封・廃棄できると決めつけないようにします。相続人が複数いる場合は、誰が確認し、どこへ保管するかを共有してから進めましょう。権限や内容に迷う郵便物は、その場で処分せず、差出人や専門家へ確認してください。
郵便物の中から通帳、保険、税金、不動産などに関係する書類が見つかった場合は、ほかの紙類と分けて保管します。詳しい分類方法は、実家片付けで捨ててはいけない重要書類の見分け方で説明しています。
長期空き家の郵便受けを管理する方法
転居届や送付停止を行っても、広告、地域の配布物、誤配、手続き前に発送された郵便物などが届くことがあります。そのため、郵便受けを完全に放置しない管理体制が必要です。
- 郵便受けに鍵や破損がないか確認する
- 郵便物やチラシが外から見える状態にしない
- 投入口や周辺に不審な物がないか確認する
- 管理する人と、回収した郵便物の保管場所を決める
- 遠方の場合は、空き家管理サービスなどの利用条件を確認する
- 信頼できる近隣の人へ、異常時の連絡方法だけを共有する
郵便受けに「空き家」「長期不在」などと大きく表示すると、不在を周囲へ知らせることにもなります。張り紙だけで対応せず、郵便局への手続きと定期確認を組み合わせましょう。
確認頻度に、すべての空き家へ共通する回数はありません。郵便物の量、家までの距離、周辺環境、いたずらや侵入の形跡、売却・解体までの期間をもとに決めます。
空き家の郵便物を整理する手順
- 親が存命か、亡くなっているか、一時的な不在かを確認する
- 親が存命の場合は、郵便物を扱うことについて本人の同意を得る
- 現在の郵便受けと届いている郵便物を写真で記録する
- 宛名人と差出人ごとに分け、重要書類を取り分ける
- 転居届または不在届を利用できる状況か確認する
- 銀行、保険会社、行政機関などへ住所変更や送付停止を届け出る
- 郵便受けを継続して確認する担当者と保管場所を決める
- 郵便物が減っているか、手続き漏れがないかを見直す
実家全体の片付けをこれから始める場合は、実家片付けで最初に行う準備と優先順位もあわせて確認してください。
避けたい対応
- 故人名義の転居届を出せば家族へ転送されると思い込む
- 不在届を長期空き家用の保管制度として利用する
- 親が存命なのに、本人へ知らせず転送や開封を進める
- 差出人を確認せず、封書をまとめて捨てる
- 転居届を出しただけで、銀行や保険などの住所変更を終えたと思う
- 郵便受けへ詳しい不在期間や管理者の個人情報を掲示する
まとめ
空き家の郵便物対策では、最初に親が存命か、亡くなっているか、一時的な不在かを確認します。
親が転居した場合は、本人の意思を確認して転居届と各契約先の住所変更を進めます。一時的な不在には最長30日の不在届がありますが、長期空き家向けの保管制度ではありません。親が亡くなった場合、故人宛て郵便物を家族の住所へ転送することはできないため、郵便局と差出人へ連絡します。
手続きを行った後も、郵便受けの状態を確認し、重要書類と個人情報を安全に管理することが大切です。


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